第二次世界大戦の日本海軍航空隊を描いた大ヒット作品として知られる映画「永遠の0」。
映画「永遠の0」は小説家・百田尚樹さんに描かれたフィクションですが、そのモデルになった人物として元・陸軍航空隊の佐々木友次さんが上げられているようです。
今回はそんな佐々木友次さんが映画「永遠の0」のモデルになったと言われる理由について掘り下げていこうと思います。
佐々木友次伍長と永遠の0
佐々木友次伍長とは?
佐々木友次さんとは実在する人物で、若い頃は陸軍航空兵として活躍し、92歳で亡くなられました。
第二次世界大戦が日本で行われた頃、佐々木さんは当時21歳の青年で、陸軍第一回の特攻隊『万朶隊』に所属していました。
佐々木さんは特攻隊の中でも奇跡的な生存者と言われており、9回出撃して9回生きて帰ってきたという経験を持っています。
特攻隊とは?
特別攻撃隊の略で、決死の任務を行う部隊のことを言う。
航空機が艦船に体当たりするなどして敵に大きな損害を与える攻撃のこと。
永遠の0とは?
司法浪人でフラフラしていた主人公・佐伯健太郎(26歳)とその実祖父にあたる海軍航空隊のパイロットである宮部久蔵の姿を描いた作品となっています。
物語が進むに連れて、主人公・健太郎は実祖父・宮部久蔵についての事実を知ることになります。
宮部久蔵は第二次世界大戦の戦争の状態がどんなに悪化しても、生きて帰ってくるような凄腕パイロットでした。
しかし、最終的には戦友たちが亡くなることを目の当たりにし、自ら特攻を志願し命を落とします。
佐々木友次伍長が永遠の0のモデルと言われる理由3選!
理由1:凄腕パイロットだった
映画「永遠の0」に登場する宮部久蔵は、敵戦闘機の銃弾を交わし無傷で帰還するなどパイロットの技術としてはかなりの凄腕のように描かれていますが、実在した陸軍航空兵・佐々木友次さん(階級:伍長)も優秀なパイロットとして活躍していたそうです。
佐々木さんは優秀がゆえに、特攻隊に選抜されてしまいました。
優秀なパイロットは航空機の操縦技術が高いため、確実に敵の爆撃機や艦船に体当たりし、大きな損害を与えることができるといった考えです。
佐々木さんは優秀なパイロットで、それゆえに特攻隊員に選ばれたと書きました。特攻を絶対に成功させるためです。そもそも、どうして「特攻」を絶対に成功させる必要があったのか、ということは重要な問題です。
引用:読書人の雑誌「本」2017年12月号より
佐々木さんの操縦技術の高さも宮部久蔵のモデルになったのかもしれませんね。
理由2:生きて帰ってくることを責められるシーンがある
映画「永遠の0」の宮部久蔵も、実在した佐々木伍長も戦争で死なずに生きて帰ってくることを周りから責められるシーンがあります。
宮部久蔵はパイロットとしての技術は高いですが、敵と真っ向勝負を仕掛けようとせず、生きて帰ってくることを最優先とします。
そのため周囲の航空兵からは「海軍一の臆病者」と言われバカにされたり、責められたりします。
一方で、佐々木さんも9回出撃して9回帰還する中で、「次は絶対に帰ってくるな!」「今度は爆弾ではなく、体当たりで船を沈めろ!」など上官たちに理不尽な罵声を浴びせられ、責められます。
佐々木さんが上官から生還を責められてしまったといった経験が、宮部久蔵の仲間から生還することを責められるシーンのモデルになったのかもしれませんね。
理由3:病院で戦争時のことを語る
映画「永遠の0」では元・海軍航空隊の井崎源次郎というおじいさんが病院で戦争時のことを語るシーンがありますが、元・陸軍航空隊の佐々木さんも病院にて戦争時のことを取材班に向けて語っています。
映画「永遠の0」に出てくる老人・井崎源次郎は病院に入院しており、主人公・健太郎と姉・慶子からの「戦時中の宮部久蔵についてどのような人物だったのかについて」の取材に応じます。
一方で、佐々木さんも91歳の時に札幌市にある病院にて「戦時中の特攻はどのようなものだったのかについて」のテレビ朝日の取材に答えています。
映画「永遠の0」で病院にいる老人・井崎を取材するシーンは、札幌の病院にいた91歳の佐々木を取材するシーンを忠実に再現していたのかもしれません。
実話と物語に隠された真実とは?
実話「佐々木さんが陸軍航空隊の特攻隊だった話」と物語「永遠の0」に隠された真実・1番伝えたかったことは〝愛〟〝絆〟なのではないかと考察します。
実話「佐々木さんが陸軍航空隊の特攻隊だった話」では、佐々木さんが9回出撃して9回帰還しますが、どんな境遇でも〝必ず生きて帰ってくる〟といった信念をもっていました。
なぜなら、佐々木さんが所属していた『万朶隊』の岩本隊長は特攻作戦が血行されたときも、佐々木さんら部下に対して「体当たりをしないで爆弾を落とせ」「そして必ず生きて帰ってこい」と言ったそうです。
佐々木さんは恩師・岩本隊長の部下を想う言葉を最後まで忠実に守り続けました。
一方で、物語「永遠の0」でも、宮部久蔵はどんな境遇でも〝必ず生きて帰ってくる〟といった信念をもっていました。
なぜなら、宮部久蔵には愛する妻と子供がいたからです。
物語の中盤で、宮部久蔵が久しぶりに自分の住む家に戻ってくるシーンがありますが、妻との別れ際の際に「松乃、必ず、帰ってきます。たとえ腕が無くなっても、足が無くなっても戻ってきます。たとえ死んでも、それでも僕は戻ってきます。うまれかわってでも、必ず君と清子のもとに戻ってきます。」と言うシーンがあります。
このことから言えるのは佐々木さんも宮部久蔵も、自分のためではなく、愛する人との約束を果たすために「どんな境遇でも必ず生きて帰ってくる」という信念を常に持っていたと言えます。
その恩師との絆を最後まで忠実に守った佐々木さんの姿が、映画「永遠の0」の宮部久蔵の家族への絆として描かれているのかもしれませんね。